「生前贈与」で孫に贈与したい
公開日:2026年08月03日
カテゴリー:コラム
「生前贈与で効率よく相続税を抑えたい」「どうせなら子世代だけでなく、孫の将来のために資金を役立てたい」――そう考えるシニア世代の間で、いま注目を集めているのが「孫への生前贈与」です。
実は、近年の法改正によって子世代への贈与ルールが厳しくなるなか、孫への贈与には「法律上の強力な抜け道(メリット)」がそのまま残されています。
本コラムでは、なぜ「孫への贈与」が相続税対策として極めて有利なのか、その理由と賢い活用法を分かりやすく解説します。
1. 最大のメリット:法改正の網をすり抜ける「7年持ち戻し」の対象外
2024年の税制改正により、亡くなる前に慌てて行った生前贈与(暦年課税)を無効化する期間が、従来の「3年前」から「7年前」へと大幅に延長されました。親が亡くなる前7年間に子どもへ贈与したお金は、すべて相続財産に足し戻されて相続税が計算されてしまいます。
しかし、ここが最大のポイントです。原則として「孫」は相続人ではないため、この「7年持ち戻し」のルールが適用されません。
つまり、仮に祖父母が亡くなる1ヶ月前や1日前という直前に孫へ110万円を贈与したとしても、それは相続税の対象にはならず、完全に相続財産から切り離すことができます。世代が若く、体調に不安が出てからでも確実に効果を出せるのが、孫への贈与の最大の強みです。
2. 財産を1世代ジャンプ!「相続税の回数を減らす」効果
通常、財産は「祖父母 ➔ 子 ➔ 孫」という順番で引き継がれます。このルートだと、祖父母が亡くなった時(1回目)と、子が亡くなった時(2回目)の合計2回、相続税が課税されるリスクがあります。
しかし、生前贈与によって祖父母から孫へ直接財産を移しておけば、子世代をスキップして「相続税の課税機会を1回分スルー」できたことになります。家族全体のトータルの資産を守るという意味でも、非常に合理的な選択です。
3. まだ間に合う!孫に使える「2つの大型非課税特例」
毎年110万円の非課税枠(暦年課税)を使う方法以外にも、孫への贈与には国が用意した強力な「一括贈与の特例」が使えます。
- 教育資金の一括贈与(最大1,500万円まで非課税)
孫の入学金、授業料、塾の費用、留学代金などを一括で信託銀行等の口座に預けられる制度です。孫が30歳になるまで非課税で引き出すことができます。 - 結婚・子育て資金の一括贈与(最大1,000万円まで非課税)
孫の結婚費用や不妊治療、出産費用、育児にかかる費用をまとめて贈与できる制度です(孫が50歳になるまで利用可能)。
※これらの特例は現在のところ2026年3月31日までの期限付き(※今後の税制改正で延長される可能性あり)となっているため、まとまった資金を今すぐ動かしたい場合は早めの検討が必要です。
4. 孫への贈与で絶対にやってはいけない「3つの落とし穴」
非常に有利な孫への贈与ですが、やり方を間違えると税務署から否認されたり、親族間のトラブルに発展したりします。
- 孫が幼い場合の「名義預金」疑惑
赤ちゃんや小学生の孫の名義口座を、祖父母が勝手に作ってお金を振り込み、通帳を隠し持っているケースです。これは贈与とは認められず、将来「祖父母の財産」として課税されます。孫が未成年の場合は、孫の親(法定代理人)との間で「贈与契約書」を交わし、通帳や印鑑は親が管理するようにしてください。 - 子ども(親世代)の「不公平感」に配慮する
特定の孫(例:長男の子どもだけ)にばかり多額の贈与を行うと、子世代の間で不満が溜まり、将来の遺産争い(争族)の引き金になります。「家族全員にオープンにする」「子世代にもバランスよく配慮する」といった配慮が不可欠です。 - 「定期贈与」とみなされない工夫をする
「毎年100万円を10年間にわたってあげる」という約束を最初に交わしてしまうと、初年度に「1,000万円をもらう権利(定期金給付契約)」を受け取ったとみなされ、多額の贈与税が課せられることがあります。契約書は毎年、異なる日付・異なる金額でその都度作成するのが鉄則です。
💡 まとめ:元気なうちから「計画的な世代交代」を
孫への生前贈与は、法改正の影響を受けにくい「最強の相続税対策」のひとつです。
また、税金面だけでなく、孫の進学、結婚、出産といった「一番お金が必要なタイミング」でリアルタイムに資金を援助できるため、生きたお金の使い方として非常に高い満足感が得られます。
孫が複数人いる場合や、財産の総額が大きい場合は、いつ・誰に・いくら贈与するのがベストか、一度シミュレーションを行ってみることをおすすめします。
弊所にて無料でご紹介、ご相談を承っております。お気軽にお問い合わせください。

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