自分が生きている間に財産を譲れる「生前贈与」
公開日:2026年08月03日
カテゴリー:コラム
将来の相続税を減らし、大切な家族に財産をスムーズに引き継ぐ手段として関心が高い「生前贈与(せいぜんぞうよ)」。
自分が生きているうちに財産を譲れるため、感謝の言葉とともに直接手渡せるのが大きな魅力です。しかし、近年の税制改正により「とりあえず毎年110万円ずつあげる」という従来の王道ルートには大きな変化が起きています。
本コラムでは、生前贈与の基本ルールから、法改正による最新の注意点、賢く活用するためのポイントを分かりやすく解説します。
1. 生前贈与とは?「あげる・もらう」の合意が必要
生前贈与は、生きている間に自分の財産を特定の人に無償で与える行為です。
よくある誤解として「子供の名義で口座を作り、親が勝手にお金を振り込んでおく」というケースがありますが、これは法律上の贈与とは認められません。贈与は、あげる側の「あげます」という意思と、もらう側の「もらいます」という双方の合意があって初めて成立する契約です。
お互いの合意がないものは、親が亡くなった時に「親の財産(名義預金)」とみなされ、遡って相続税の対象になってしまうため注意が必要です。
2. 知っておくべき「2つの課税方式」

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生前贈与にかかる「贈与税」の計算方法には、大きく分けて2つの選択肢があります。
- ① 暦年課税(れきねんかぜい)
最も一般的な方法です。毎年1月1日から12月31日までの1年間にもらった財産が「110万円」以下であれば、贈与税はかかりません(基礎控除)。110万円を超えた分に対してのみ、累進税率で贈与税が課税されます。 - ② 相続時精算課税(そうぞくせいさんかぜい)
原則60歳以上の父母・祖父母から、18歳以上の子・孫への贈与で選べる制度です。累計2,500万円までは贈与税が非課税になります。ただし、ここで贈与された財産は、将来親が亡くなった時に「相続財産」に足し戻されて相続税が計算されます(※近年の改正で、この制度にも年間110万円の基礎控除が新設され、使い勝手が向上しました)。
3. 【重要】税制改正で「暦年課税の持ち戻し」が7年に延長
これまでは、亡くなる直前に慌てて贈与して相続税逃れをすることを防ぐため、亡くなる前「3年以内」に贈与された財産は、相続財産に足し戻して相続税を計算するというルール(持ち戻し)がありました。
しかし、2024年の税制改正以降、この対象期間が段階的に「7年」へと延長されています。
つまり、2026年現在においては、早いうちから計画的に贈与をスタートしておかなければ、せっかくの110万円の非課税枠が「相続税対策」としては意味をなさなくなってしまうリスクが高まっています。若いうち、元気なうちからの「早期スタート」がこれまで以上に重要になっています。
4. 税務署に「名義預金」と疑われないための3つの対策
せっかくの生前贈与を税務署から「認めない」と言われないために、以下の3つの防衛策を徹底しましょう。
- 贈与契約書を毎回作成する
「いつ・誰が・誰に・何を贈与したか」を明確にした契約書を毎回作成し、お互いに署名・捺印して保管しておきます。これが確実な証拠になります。 - 通帳に記録を残す(手渡しは避ける)
現金手渡しではなく、必ず「親の口座から子の口座へ」振込を行い、通帳に確実な記録(エビデンス)を残してください。 - もらった本人が通帳・印鑑を管理する
子供名義の口座であっても、通帳や実印、キャッシュカードを親が管理していると、税務署から「親の財産」と判断されます。口座の管理・運用は必ずもらった本人に委ねてください。
💡 まとめ:特例(教育資金や結婚資金)の活用も視野に
生前贈与には、今回ご紹介した110万円の枠のほかにも、「住宅取得資金の贈与」「教育資金の一括贈与(最大1,500万円)」「結婚・子育て資金の一括贈与(最大1,000万円)」といった、期限付きの強力な非課税特例も存在します。
法改正によって「ただ毎年110万円を分ける」だけの時代は終わり、家族のライフイベントに合わせて、どの制度をどう組み合わせるかのシミュレーションが不可欠になりました。
自社やご家族の財産状況に合わせて、最適なロードマップを描くために、一度税理士などの専門家に試算を依頼してみるのがおすすめです。

アパート外観








