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遺言執行者とは?

公開日:2026年08月03日 カテゴリー:コラム タグ:
自分が亡くなった後、遺言書の内容通りに遺産を分け合ってもらいたい――そう願って遺言書を作成しても、残された家族がその通りに手続きをしてくれるとは限りません。親族間で意見が対立したり、複雑な名義変更の手続きに誰も手を付けなかったりするケースは非常に多いものです。
そんな時、遺言書の内容を確実に、かつスムーズに実現させるためのリーダーとなるのが「遺言執行者(いごんしっこうしゃ)」です。

対面で説明する司法書士

本コラムでは、遺言執行者の役割、具体的な仕事内容、そしてなぜ指定しておくべきなのかを分かりやすく解説します。

1. 遺言執行者とは?「遺言の実現」を任された代理人
遺言執行者とは、遺言書に書かれた内容を具体的に実行するために、法律上の強い権限を与えられた人のことです。
2020年の民法改正により、遺言執行者は「相続人の代理人」ではなく、「遺言者の意思を実現するため、独立して一切の権限を持つ」ことが明確に定義されました。これにより、相続人の一人が反対したとしても、遺言執行者はその反対を押し切って遺言通りの手続きを単独で進めることができます。

2. 遺言執行者は何をする人?具体的な5つの仕事
遺言執行者の業務は多岐にわたり、非常に責任の重い実務をこなす必要があります。
  • 相続人への通知:自分が遺言執行者に就職したこと、および遺言の内容をすべての相続人に速やかに通知します。
  • 財産目録の作成と交付:亡くなった人の財産(預貯金、不動産、株など)を調査し、一覧表(財産目録)にして相続人に開示します。
  • 預貯金の解約・払い戻し:銀行に出向き、口座の解約や、遺言書で指定された人への送金手続きを行います。
  • 不動産の名義変更(登記):法務局で、自宅などの不動産を特定の相続人や第三者に移転する登記手続きを行います。
  • その他の特殊な手続き:遺言による「子どもの認知」や「特定の相続人の廃除(遺産をあげない手続き)」など、遺言執行者しか行えない法的な手続きを執行します。

3. 遺言執行者を「絶対に選んでおくべき」3つのケース
遺言書を作る際、遺言執行者を指定することは必須ではありません。しかし、以下のケースでは指定しておかないと、残された家族が泥沼のトラブルに発展する可能性が極めて高くなります。
  • 子どものいない夫婦で、配偶者に全財産を残したい場合
    子どもがいない場合、遺産は配偶者だけでなく、亡くなった人の親や兄弟姉妹にも相続権が移ります。遺言執行者がいないと、配偶者は「夫の兄弟姉妹(またはその子ども)」全員から実印と印鑑証明書をもらわなければ銀行解約すらできなくなります。
  • 特定の相続人に多く残したい、または法定相続人以外(愛する人や友人、寄付など)に遺贈したい場合
    遺産を少なくされた相続人は、手続きに協力してくれないのが通常です。遺言執行者を指定しておけば、不満を持つ相続人の協力を得ることなく、単独で名義変更を進められます。
  • 実家の不動産や株式など、分割しにくい財産がある場合
    誰がどの財産を引き継ぐかが複雑な場合、公平な立場の執行者がいることで、感情論を排除してスムーズに手続きが完了します。

4. 誰を指名すればいい?「家族」か「専門家」か
遺言執行者は、未成年者や破産者でなければ、資格のない家族や友人を指名することも可能です(遺言書の中に「遺言執行者として長男〇〇を指名する」と書くだけで有効になります)。
しかし、前述の通り業務は非常に専門的で、銀行や法務局との平日昼間のやり取りも多く、一般の家族には大きな負担となります。また、家族のひとりが執行者になると、他の親族から「本当に不公平なく手続きしているのか」と疑念を持たれ、新たな火種になることも少なくありません。
そのため、確実かつ円満に遺言を実行したい場合は、弁護士、司法書士、信託銀行などの「専門家」を遺言執行者に指定しておくのが一般的です。

💡 まとめ:遺言書とセットで必ず指定しよう
せっかく「争族」を防ぐために遺言書を遺しても、その実行役が決まっていなければ、残された家族に最後の重荷を背負わせることになってしまいます。
遺言書を作成する際は、単に「誰に何を遺すか」を決めるだけでなく、「それを誰が責任を持って実行するか(遺言執行者の指定)」までをワンセットで考えておくことが、真の安心につながる賢明な選択と言えます。

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