本店移転の手続きはどうやって行うのか?
公開日:2026年08月03日
カテゴリー:コラム
1. 本店移転で最初に行う「2つの法的手続き」
オフィスの場所を移動しても、自動的に会社の住所は変わりません。まずは法的な手続き(登記変更)が必要です。
- 株主総会または取締役会での決議
定款(会社の基本ルール)に書かれている「本店の所在地」を変更するため、株主総会や取締役会で移転先や移転日を決定します。 - 法務局への「本店移転登記」の申請

弊所応接室
移転した日から2週間以内に、法務局へ登記申請を行う義務があります。これを超えると過料(ペナルティ)を科される可能性があるため注意が必要です。
2. 移転先によって変わる「登録免許税」の罠
法務局に登記を申請する際、国に納める「登録免許税」という税金がかかります。この費用は「管轄(かんかつ)の法務局が変わるかどうか」で金額が倍に跳ね上がります。
- 管轄「内」での移転(例:渋谷区から新宿区へ移転など※東京法務局城北出張所の管轄内など)
登録免許税は 3万円 です。 - 管轄「外」での移転(例:東京都から神奈川県へ移転、大阪市から京都市へ移転など)
旧管轄の法務局と、新管轄の法務局の双方に申請が必要になるため、3万円×2箇所= 6万円 がかかります。
3. 法務局だけじゃない!忘れてはならない届出先リスト
登記が完了したら、速やかに以下の各官公庁へ「変更届」を提出しなければなりません。それぞれ期限が異なるため、スケジュール管理が重要です。
- 税務署・都道府県税事務所・市区町村
法人税や住民税の納税先が変わるため、速やかに異動届を提出します。 - 年金事務所
社会保険の手続きのため、移転後5日以内に提出が必要です(期限が最も短いため最優先)。 - ハローワーク・労働基準監督署
従業員を雇用している場合、労働保険・雇用保険の変更手続きを行います。
4. 経営者が最も見落としがちな「3つの落とし穴」
実務上、多くの経営者が後から気づいて焦るポイントが3つあります。
- 銀行口座の住所変更
これを忘れると、銀行からの重要書類が届かず、最悪の場合口座が一時凍結されるリスクがあります。融資を受けている場合は特に早めの連絡が必要です。 - 許認可の変更手続き
宅建業、人材派遣業、飲食業など、行政の許認可が必要な業種は、本店移転によって許認可の書き換え手続きが必要になります(事前審査が必要な場合もあります)。 - 社内ツールの「文字数・レイアウト」変更
名刺、封筒、請求書・領収書のテンプレート、WEBサイトの会社概要など、新住所に変更すべきテキストや印刷物は想像以上に大量にあります。
💡 まとめ:スケジュールには2ヶ月の余裕を

司法書士女性イメージ画像
本店移転は、物件の契約から登記完了、その後の各種届け出までを含めると、最低でも1〜2ヶ月の期間を要します。
特に法務局の登記は、申請してから完了までに1週間〜10日前後かかるため、その間は新しい住所での印鑑証明書や登記事項証明書(登記簿謄本)が発行できません。これらが手に入らないと、銀行や税務署の手続きもストップしてしまいます。
移転期日から逆算し、チェックリストを作って計画的に進めることが、ビジネスを止めずに引っ越しを成功させる最大の鍵となります。








