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代表取締役の住所を非表示に

公開日:2026年08月03日 カテゴリー:コラム タグ:
2024年(令和6年)10月1日からスタートした、会社の登記簿(登記事項証明書)に関する新しい制度「代表取締役等住所非表示措置」
これまでは、会社の代表取締役の自宅住所は誰でも法務局で閲覧・取得できる状態にあり、プライバシーやセキュリティの観点から長年問題視されてきました。このリスクを解消するために新設されたのが、今回の「住所非表示制度」です。
本コラムでは、この制度の概要から、メリット、申請時の注意点までを分かりやすく解説します。

1. 制度の概要:何がどう変わる?
これまでの登記簿には、代表取締役の「市区町村」から「丁目・番地・マンションの部屋番号」までがすべて掲載されていました。
この新制度を利用すると、登記簿上の住所表記を「市区町村まで(例:東京都渋谷区まで)」にとどめ、それ以降の番地や部屋番号を非表示(非公開)にすることができます。
  • 対象となる人:代表取締役、代表執行役、代表清算人など(※代表権のない一般の取締役は、もともと住所が登記されないため対象外です)。
  • 対象となる会社:株式会社のみ(※合同会社や一般社団法人などは、現時点では対象外となっています)。

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2. 経営者が知っておくべき「2つのメリット」
この制度を導入することで、経営者は大きな安心感を得ることができます。
  • プライバシーの保護とストーカー・空き巣対策
    自宅住所が完全に隠れるため、経営者個人やその家族を狙ったストーカー行為、ネット上での住所特定(晒し行為)、自宅への空き巣などの犯罪リスクを大幅に下げられます。
  • 自宅兼オフィスのスタートアップの安全確保
    特に自宅を本店所在地(会社の住所)にしているひとり社長やスタートアップの場合、会社の住所から自宅の場所まで丸見えになってしまうため、これを防ぐ強力な盾となります。

3. メリットばかりではない?申請時の「3つの落とし穴」
一見、メリットしかないように思える制度ですが、実務上は「むしろ手続きが面倒になるリスク」を孕んでいます。経営者が最も注意すべきデメリットを解説します。
  • 銀行融資や契約で「別の証明」を求められる
    金融機関で法人口座を開設する際や融資を受ける際、また不動産の賃貸契約を結ぶ際などは、代表者個人の「本当の住所」の確認が必要不可欠です。登記簿で確認できない場合、追加で「住民票」や「非表示措置決定通知書」の提出を求められ、手続きが煩雑になります。
  • いつでも「後から解除」できるわけではない
    一度非表示にした住所を「やっぱり表示させたい」と思っても、正当な理由がない限り、途中で非表示措置だけを解除することはできません。原則として、次の役員変更や住所移転のタイミングまで待つ必要があります。
  • 登記のタイミングでしか申請できない
    「今すぐ住所を隠したい」と思っても、何もない平時に非表示の申請だけを行うことはできません。設立登記、役員報酬の改選(重任)、代表取締役の引っ越し(住所変更登記)など、「代表取締役の住所が登記されるタイミング」で同時に申請する必要があります。

4. 申請に必要な「4つの添付書類」
住所を隠すためには、その住所に本当に本人が住んでいるか、また会社が実在しているかを法務局が厳格にチェックします。そのため、通常の登記申請よりも多くの書類が必要です。
  1. 株式会社の実在性を証する書面(例:固定資産税の納税証明書、公共料金の領収書、オフィスの賃貸借契約書など)
  2. 代表取締役等の住所を証する書面(住民票の写しなど)
  3. 実質的支配者の申告書(すでに法務局に提出している場合は不要)
  4. 申請書への記載(登記申請書に「住所非表示措置を希望する」旨を明記)

💡 まとめ:自社にとって「今」必要かを見極める

弊所応接室

代表取締役の住所非表示制度は、経営者のプライバシーを守るための素晴らしい一歩です。特に、BtoC(個人向け)ビジネスを展開しており、代表者の名前が表に出やすい経営者にとっては必須の制度と言えます。
一方で、BtoB(企業間)取引が中心で、頻繁に融資や大口の契約書を交わす会社の場合、事あるごとに住民票の提出を求められる「事務負担」の方が上回ってしまう可能性もあります。
自社のビジネスモデルや今後の融資計画を考慮し、次の役員変更のタイミングで導入すべきかどうか、慎重に検討してみるのが良いでしょう。

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