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単一株式発行会社から種類株式発行会社にする(種類株式の導入)の実務手続き

公開日:2026年08月04日 カテゴリー:コラム タグ:
企業の成長に伴う「資金調達(ベンチャーキャピタル等からの出資)」や、スムーズな「事業承継」を目指す際、議決権のない株式や配当を優先的に受け取れる株式といった、特別なルールを持つ「種類株式」を導入するケースが増えています。
普通株式しか持っていなかった会社(単一株式発行会社)が、新しく種類株式を発行できるようにするためには、会社のルールブックである「定款」の変更と、法務局への登記申請が必要です。具体的な導入ステップと注意点を分かりやすく解説します。

弊所応接室


1. そもそも「種類株式」で何ができるのか?
会社法では、主に以下のような特別な権利・制限をつけた株式を、最大9種類設計することができます。
  • 剰余金の配当優先株:投資家等に対して、普通株主よりも多くの配当を支払う。
  • 議決権制限株:お金は出してほしいが経営には口出しさせない(議決権を一部、または全部なくす)。
  • 拒否権付株式(黄金株):特定の株主(創業社長など)が持っている1株だけで、株主総会の重要決議をひっくり返せる(拒否できる)ようにする。

2. 種類株式発行会社への移行 4つのステップ
単一株式発行会社から移行する場合、実務は以下の手順で進めます。
ステップ①:種類株式の「設計(内容の決定)」
まずは、新しく導入する種類株式の具体的なルールを決めます。
  • 配当の金額や割合
  • 議決権の有無や制限の範囲
  • 将来、会社がその株式を買い取る(取得する)際の条件
    これらは後から変更するのが難しいため、出資者や専門家と事前に綿密なすり合わせを行います。
ステップ②:株主総会の特別決議(定款の変更)
新しく種類株式を発行できるよう、株主総会を開催して「定款」を変更します。
  • 決議要件:議決権の過半数を持つ株主が出席し、その3分の2以上の賛成が必要な「特別決議」となります。
  • 定款に書き加える内容
    1. 発行する種類株式の「内容(ルール)」
    2. 会社全体で発行できる最大の株数(発行可能株式総数
    3. 各種類株式ごとに発行できる最大の株数(発行可能種類株式総数

ステップ③:取締役会での決議(取締役会設置会社の場合)
定款に種類株式の枠を設けた後、実際にその株式を「誰に、何株、いくらで発行するか(募集事項の決定)」を決定します。
ステップ④:法務局への変更登記申請
定款を変更(株主総会で可決)した日から2週間以内に、管轄の法務局へ変更登記を申請します。

3. 登記申請時の「必要書類」と「登録免許税」
📄 主な添付書類
  • 株主総会議事録(種類株式の導入、発行可能株式総数の変更を可決したもの)
  • 株主リスト(商業登記の必須書類)
  • 定款(変更後のもの)
    ※実際に同時に新株(種類株)を発行する場合は、取締役会議事録や払込みを証する書面(通帳のコピー等)が追加で必要になります。
💰 登録免許税(費用)
種類株式を導入する場合、以下の2つの登録免許税が同時にかかります。
  1. 種類株式の内容の登記(定款変更分)3万円
  2. 発行可能株式総数・発行可能種類株式総数の変更分3万円
同一の申請書で同時に申請するため、法務局の区分(ツ)「その他の変更」としてまとめられ、合計6万円の登録免許税が必要になります。

💡 実務上の最重要注意点

対面で説明する司法書士

種類株式を設計・導入する行為は、「既存の普通株主の権利や発言権を薄めたり、変化させたりする行為」に他なりません。
そのため、既存の株主に対して事前に「なぜこの種類株式を導入するのか」「既存株主にどのような影響があるのか」を丁寧に説明し、理解を得ておくことがトラブルを防ぐ最大のポイントとなります。
書類の文言一つで法律上の効果が大きく変わるため、あらかじめ司法書士などの専門家にリーガルチェックを依頼しながら進めてください。
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