海外在住の日本人が平取締役に就任する場合の登記必要書類マニュアル
公開日:2026年09月01日
カテゴリー:コラム
海外在住の日本人(日本に住民登録がない人)が平取締役に就任する場合、手続きの最大のポイントは「住民票や印鑑証明書の代わりに、海外現地で何を用意するか」という点です。これは、会社に「取締役会」があるか・ないかによって大きく2つのパターンに分かれます。

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💼 パターンA:【取締役会がある会社】の場合
取締役会がある会社の場合、平取締役の就任登記において「印鑑証明書」の提出は不要です。ただし、実在する人物であることを証明する「本人確認証明書(住所証明書)」を法務局へ提出する義務があります。
📋 必要書類一覧
- 株主総会議事録
- 株主リスト
- 就任承諾書(認印またはサインで可)
- 本人確認証明書(※以下のいずれか1点)
- 在留証明書(現地の日本大使館・領事館が発行したもの)
- 住所の記載があるサイン証明書(署名証明書)
- 日本の印鑑証明書(※海外転出届を出しておらず、まだ日本に住民票が残っている場合のみ)
💡 ポイント
取締役会がある会社なら、海外現地で「在留証明書」を1通取得すれば、サイン証明書がなくても登記申請が可能です。
❌ パターンB:【取締役会がない会社】の場合
取締役会がない会社(役員が1〜2名の中小企業に多い形)では、すべての取締役が経営の重要事項を決定するため、法務局へのチェックが厳しくなります。就任承諾書には「実印」を押し、その「印鑑証明書」を添付しなければなりません。
しかし、海外在住者は日本の印鑑証明書を持っていません。そのため、実印と印鑑証明書の代わりとして「サイン証明書」が必須となります。
📋 必要書類一覧
- 株主総会議事録
- 株主リスト
- 就任承諾書(※海外在住者が現地で領事等の前でサインしたもの)
- サイン証明書(署名証明書)
- 現地の日本大使館・領事館、または現地公証人が発行した、就任承諾書と「合綴(ホチキス留め+割印)」されたもの。
- 注意: このサイン証明書は「住民票の代わり」も兼ねるため、書類内に本人の「氏名・現住所・生年月日」がすべて明記されている形式でなければ法務局で受理されません。
💻 2026年最新トレンド:オンライン取得の「在留証明書(e-証明書)」は使える?
外務省の「オンライン在留届(ORRネット)」を利用すると、PDF形式の電子在留証明書(e-証明書)をネット上で取得できるようになりました。非常に便利ですが、登記の申請方法によって使えるかどうかが変わるため注意が必要です。
- 「オンライン(電子)申請」で登記する場合:⭕ そのまま使用可能
司法書士への依頼や、ご自身で「申請用総合ソフト」等を使い、完全にオンラインで登記申請を行う場合は、ダウンロードしたPDFデータをそのまま添付して送信できます(外務省の電子署名が生きているため)。 - 「紙(書面)」で法務局へ申請する場合:❌ 印刷したものは使用不可
法務局の窓口や郵送で紙の書類を出して申請する場合、e-証明書を自宅のプリンターで印刷したものは「ただのコピー」とみなされ、受理されません。書面申請の場合は、オンライン申請時であっても、受け取り方法に「在外公館(大使館)の窓口で紙の証明書を受け取る」を選択し、公印の押された原本を入手する必要があります。
⚠️ スムーズな登記のための3大注意点
- 有効期限は「3ヶ月以内」
海外から取り寄せる書類であっても、日本の法務局に提出する時点で発行から3ヶ月以内のものでなければなりません。郵送や手続きの往復にかかる日数を逆算してスケジュールを組む必要があります。 - 大使館での申請時の伝え方
現地の日本大使館等でサイン証明書や在留証明書を取得する際は、必ず「日本の法務局(商業登記)に提出するため、住所と生年月日の記載が必要である」旨を窓口で伝えてください。単にサインの真正性だけを証明する形式(住所が入らないもの)で発行されてしまうと、日本の法務局で弾かれてしまいます。 - パスポートコピーの特例(取締役会あり会社のみ)
取締役会がある会社で「本人確認証明書」を出す場合、現地の日本大使館が遠く、在留証明書が取れないときは、例外的に「本人のパスポートコピー」+「本人のサイン+会社の代表印を押した原本と相違ない旨の証明書」で代用できるケースもあります。ただし、法務局の審査官によって判断が分かれることがあるため、事前に管轄法務局への確認が必要です。
海外在住の役員就任は、書類の手配にどうしても時間がかかります。まずは自社の「取締役会の有無」と「登記の申請方法(オンラインか書面か)」を明確にし、余裕を持って準備を進めましょう。

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