みんなが揃う盆だから。親兄弟全員で考えたい「相続税」の話
何事も「ハードルが高い」のはウエルカムとは言えませんが、高くて嬉しいのは相続税の非課税限度、基礎控除額です。ところがこの基礎控除が数年前に4割も引き下げられ、われわれ庶民にも相続税が他人事でなくなりました。今回の無料メルマガ『税金を払う人・もらう人』では著者で税理士の今村仁さんが、お盆の時期にこそ親兄弟と考えるべき相続税について記しています。
8月に考えるべき税金とは?
毎日毎日暑いですね。これだけ暑いと何も考えられないというのが実情かと思いますが、それでもこの8月に考えて欲しい税金があります。それは何かわかりますか?
8月の半ばにはお盆がありますよね。お盆は帰省シーズン。東京や大阪などの都市に就職された方も、お盆やお正月には実家に帰ることが多いのではないでしょうか。お盆は1年の内で唯一かもしれない、家族全員が顔を合わせることができる貴重な時です。その時に考えて欲しい税金が、「相続税」です。
知らぬ間に親が弱ってきている
- 階段でこけて足首をねん挫した
- ブレーキとアクセルを間違えてガレージを壊した
- 風邪や咳がなかなか治らない
- 物忘れが最近極端だ
- 薬の数が増えていて飲み忘れも多いようだ
お盆で実家に集まって、親や兄弟姉妹などと団らんをしていると、ふと親が急速に老けてきたなと感じることはありませんか。親の死を身近に感じることはありませんか。
親が亡くなることを生前に考えることなど失礼だ、などと考えるのは色々な面でナンセンスです。親にとっても不幸、子供にとっても不幸、更には孫にとっても不幸。言葉選びを丁寧かつ慎重にさえすれば、親もウエルカムに感じる事が多いです。
「遺産分けの方向性」と「相続税がかかるかどうかの可否」
自宅は誰が相続するのが適切なのか? 同居人がいるのかいないのかや、1次相続かどうか等で判断は変わるでしょう。
次男が親の土地に次男家の自宅を建てた場合の土地は? これは通常次男が相続すべきでしょうが、遺留分など全体のバランスを、生前贈与も踏まえて考えるべきでしょう。
1次相続で父が亡くなった場合、残されたお母さんへの遺産分けは? あくまで一般論ですが、自宅や現預金の無いご老人はなかなか幸せを感じにくいことが多いですので、ご自身の手持ち財産があまりない場合は、手厚く遺産分けしてあげるのが良いのではないでしょうか。
これらのように、お盆の時に遺産分けの方向性を、できれば、父や母から話があると、その後いざという時に円滑にいくのではないかと思います。更には、お盆の時に、大体の親の財産を聞いておいて、「相続税がかかるのかどうか」を下記の算式を参考に試算しておいてくのも有効です。
- 相続税の基礎控除=3,000万円+600万円×法定相続人の数
上記を超える財産を親がお持ちの場合は、相続税がかかる可能性がありますので、その分の現金が必要になることも合わせて確認しておきましょう(小規模宅地の評価減や配偶者の税額軽減などで税金が発生しないことも多いですが)。