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自分で行う相続財産調査の方法|費用・調べる期間について

公開日:2021年12月27日 カテゴリー:コラム タグ:

大切なご家族が亡くなり相続手続きを始めたところ、預金や投資信託や不動産など色々な財産があり、それぞれどのように、誰に対して資料を請求して調査を行えば良いのか分からないという問題がよく起こります。

相続財産の調査が不十分なまま遺産分割協議や相続手続きを行ってしまいますと、新たに預金や不動産が発見され、遺産分割協議が難航したり相続人間のトラブルにつながる恐れもあります。

こうした事態を避けるためにも相続財産の調査は正確に行う必要があります。

相続財産の調査でわかる財産

相続財産には預貯金や不動産、有価証券といったプラスの財産と、借入金などのマイナスの財産があります。

プラスになる相続財産

現金、預金、貸金庫の中にある財産

預金については、被相続人名義の口座と、家族名義ではあるが実質的に被相続人の資産と評価される口座(名義預金)があります。

自宅金庫や貸金庫だけではなく引出しや箪笥の中から通帳や現金が発見される場合もあります。

株式、手形、小切手などの有価証券

有価証券には、株式(上場株式、非上場株式)、債券(個人向け国債、社債等)、受益証券(投資信託、REIT等)、手形(約束手形、為替手形)、小切手など様々な種類があります。

これらは証券会社や金融機関で取り扱われています。

家、土地などの不動産

自宅土地、建物(持家、マンションの部屋など)が主ですが、不動産賃貸業を営んでいた方であれば貸家やアパートの土地建物、地方から出てきた方の場合は実家の不動産を相続している場合もあり、それらも相続の対象になります。

土地、建物上の権利

借地権や地上権、定期借地権や借家権といった土地、建物上の権利も相続の対象となります。

権利証や登記識別情報と共に契約書が発見されることもあり、登記の有無についても登記事項証明書で確認を行う必要があります。

自動車などの登録動産

自動車や小型船などの登録動産も相続による名義変更を行う必要があります。

自動車は保険会社からの保険証券や(軽)自動車税納税通知書、小型船等であれば登録事項証明書等で確認しましょう。

貴金属類などの家庭用財産

自宅や貸金庫等から発見された貴金属、絵画、骨董品などが挙げられます。

こうした財産は相続人により持ち去られて売却されやすいため、後々相続人間のトラブルを引き起こす可能性があります。

取扱いに注意を要する財産です。

第三者への貸付金等

第三者への貸付金債権、税金の還付金請求権、損害賠償請求権、慰謝料請求権などが挙げられます。

その他にも被相続人自身にのみ効果がある権利以外については相続の対象となります。

マイナスになる相続財産

借金、債務

マイナスの財産として代表的なものが借入金です。

住宅ローンや自動車など各種ローン、クレジットカードのリボ払い残金、消費者金融への未返済金などが挙げられます。

連帯債務、保証債務

被相続人が家族や第三者の保証人となっている契約です。

住宅ローンや自動車ローンといった各種ローン契約書、金銭消費貸借契約書のお客様控などを必ず確認するようにしてください。

未払金

水道費、光熱費、携帯電話料金といった日常生活一般に関する費用や、入院費や医療費、賃貸物件にお住まいだった方であれば未払家賃などの費用が残っている場合があります。

公租公課

所得税、住民税、固定資産税、都市計画税、贈与税といった税金や国民健康保険料などは相続の対象となります。

事業をされている方の場合は消費税も対象となります。

マイナスの財産は遺産分割の対象にならない

借入金や負債といったマイナスの財産は相続が発生した時点で、法定相続分に応じて各相続人が負担を負い、各相続人が債権者に対して返済義務を負います。

債務の調査が不十分なまま相続手続きを行った場合、未発見の債務が発覚し、各相続人が想定外の債務返済負担を負いかねないため、正確かつ迅速な調査が重要です。

相続財産の調査方法

相続財産の種類別に調査方法を以下に記載します。

預貯金の調査方法

  • 1.被相続人の預金通帳、キャッシュカードを準備
  • 2.ネット銀行など通帳の無い口座確認のため、被相続人のスマートフォンやパソコンでも確認をする
  • 3.銀行へ連絡し、預金口座の名寄せ依頼(複数口座の確認)及び残高証明書発行を依頼

不動産の調査方法

  • 1.固定資産納税通知書、権利証または登記識別情報通知を準備
  • 2.不動産所在地の市町村に、名寄帳・評価証明書を請求する
  • 3.名寄帳・評価証明書の記載を元に法務局で登記簿謄本を取得し、名義を確認する

株式・有価証券の調査方法

  • 1.証券会社や金融機関からの取引残高報告書など、郵送物を検索
  • 2.取引残高報告書が電子交付されている場合もあるため、被相続人のスマートフォンやパソコンでも確認する
  • 3.自宅金庫や貸金庫の中に株券・証券が残っていないか検索する
  • 4.証券会社や金融機関に問い合わせを行い、取引残高証明書を請求する

マイナス財産の調査方法

  • 1.被相続人名義のクレジットカードやカード利用明細書、督促状などの有無を検索する
  • 2.利用明細書が電子交付されている場合もあるため、被相続人にスマートフォンやパソコンでも確認する
  • 3.登記簿謄本で抵当権が設定されていないかを確認、設定されている場合は抵当権設定契約書の控えを検索する
  • 4.借入先金融機関等に残高証明書を請求する
  • 5.個人信用情報機関に借入債務が無いか情報開示請求を行う
  • マイナス財産の内容は相続放棄や限定承認を検討する非常に重要な情報です。

    申立期間が定められている手続きでもあるため、迅速かつ正確な情報を集めなければなりません。

    相続財産の調査にかかる費用

    調査を依頼する専門家により調査可能範囲や内容が異なり、調査費用も下記の表のように違いがあります。

    調査対象の財産の種類や数によっても費用額が変わるため、費用が心配な方は事前に概算費用の見積もりをしてもらうこともご検討ください。

    司法書士 約10~30万円
    行政書士 数万~
    弁護士 約10~50万円
    金融機関 約100万円~

    ※財産の調査数等によって費用の増減が発生します。

    司法書士に依頼した場合

    司法書士は不動産登記実務のスペシャリストであり、登記依頼を前提とした財産調査であればご依頼を受けることができます。

    具体的には下記の内容について調査が可能です。

    1 現金・預金 金融機関に対する残高証明書の請求
    2 不動産 不動産所在地市町村への名寄帳、評価証明書の請求及び法務局にて登記簿謄本の取得
    3 株式・証券 証券会社や金融機関へ取引残高報告書の請求
    4
    マイナスの財産 借入先金融機関へ残高証明書の請求

    そして、これらの財産調査を元として遺産分割協議書の作成や相続放棄・限定承認の申立、相続登記など、調査以降の手続きも引き続いて行うことが出来ます。

    費用としては決して安いと言える金額ではありませんが、その分調査対応範囲も広く、調査以降のサポート面も考えると司法書士への依頼が一番スタンダードと言えます。

    行政書士に依頼した場合

    1 現金・預金 金融機関に対する残高証明書の請求
    2 不動産 不動産所在地市町村への名寄帳、評価証明書の請求及び法務局にて登記簿謄本の取得
    3 株式・証券 証券会社や金融機関へ取引残高報告書の請求
    4
    マイナスの財産 借入先金融機関へ残高証明書の請求

    行政書士も司法書士同様に預金、不動産、株式等に関する調査を行うことができますが、不動産登記を申請することはできません。

    費用的には安く抑えられますが、相続財産調査後、遺産分割協議書の作成は出来ますが登記の申請は相続人本人か司法書士に依頼することになるため、提供できるサービスには限りがあります。

    弁護士に依頼した場合

    1 相続人間でのトラブルが発生 遺産分割調停・裁判対応
    2 現金・預金 金融機関に対する残高証明書の請求
    3 不動産 不動産所在地市町村への名寄帳、評価証明書の請求及び法務局にて登記簿謄本の取得
    4
    株式・証券 証券会社や金融機関へ取引残高報告書の請求
    5 マイナスの財産 借入先金融機関へ残高証明書の請求
    6 相続人間のトラブルに引き続き対応

    主に相続人間でトラブルが発生しているなどの法的紛争が起こっている場合は、弁護士に財産調査から依頼することも選択肢の1つです。

    対応できる法的サービスは多いものの、1件1件あたりの単価は行政書士や司法書士よりも報酬額が高めに設定されていることが多く、相談料や着手金などの支払いも発生します。

    (中には相談料無料の弁護士もいます)

    ただ、特段相続人間の人的トラブル、財産上の争いなどの問題が無い場合は弁護士に相談するメリットは低くなります。

    特段の争いが無い相続であれば、司法書士に相談する方がスムーズと言えるでしょう。

    金融機関に依頼した場合

    金融機関が行なっている遺産整理業務サービスを利用する方法です。

    金融機関と契約を行なって戸籍調査、預金、不動産、株式等の調査を行いますが、司法書士や行政書士より報酬が高く設定されており総じて費用が高くなる傾向があります。

    また、金融機関は相続の専門家ではありません。

    相続担当者のスキルによっては相続人が満足できるだけのサービスが提供できないこともあります。

    相続財産調査にかかる期間

    相続財産調査には通常、約1~2ヶ月ほどの期間を要します。

    金融機関への残高証明書請求、不動産も遠方の所在地であれば郵便で名寄帳・評価証明書を取り寄せることになります。

    財産の数が多いほど、かかる期間も長くなります。

    しかし財産調査は早ければ早いほど良い、と言った性質のものではありません。

    後から多額の預金通帳や借入金が見つかった場合、相続人同士のトラブルや債務返済が困難な事態となるなど相続人の生活に大きな影響を及ぼすことも考えられます。

    相続財産調査は相続手続きの重要な第一歩、是非この調査から相続のエキスパートである司法書士の力を活用してください。